【創業しました】物語に目覚めるということ

[2016年7月1日]

外資系コンサルティングファームを卒業し、企業の経営コンサルティングや人材開発支援、個人向けの研修・セミナーを実施するMAP U(マップユー)を創業しました。

 

ひとにはそれぞれの物語があり、他の誰でもなく、自分自身の物語を持っています。

物語は発見され、スイッチが押されるのを待っています。

 

 

ぼくは幼いころから物語に親しんできました。

最初に両親から与えられた物語は「ふしぎなしっぽのおばけだぞう」という絵本です。

ワープロでお兄ちゃんの悪口を書いたセイくんが文章の消し方に分からず困っているところに(このままじゃお兄ちゃんに怒られる!)、ゾウのおばけが現れて空からアイスクリームを降らせるというお話しです。

 

ワープロで文章を作ると、空からアイスクリームが降ってくる!

 

ぼくの母は自宅に近所の小学生を集めて個人塾を開いていたので、日が暮れてくると母は他の子どもたちの先生になっていました。

まだ小学校に上がる前だったぼくは2階の寝室に上がって、階下から聞こえてくる母と子どもたちの声に耳をすませながら、「ふしぎなしっぽのおばけだぞう」を読みました。

読み終わってしまうと階下に降りて別の絵本をねだりましたが、幼いぼくが一人であっという間に本を読んでしまうことなど想定していなかった母は驚き、困った顔で「もう一度その本を読みなさい」と言いました。

ぼくはまた2階に上がって絵本をめくり、時折聞こえてくる階下の声に耳を澄まし、寝室の片隅でひっそりと佇むワープロを眺めていました。

 

ワープロで文章が書けたらアイスクリームを食べられるのに。

 

小学校に上がると、絵本は買ってもらえなくなりました。代わりに、偉人たちの伝記をどっさりと与えられました。

伝記なんて読みたくもありませんでしたが、物語に飢えていたぼくは仕方なく伝記を物語として読みはじめました。読み進めてみると存外に面白いものもあり、そのうち偉人たちは「面白い物語の主人公」と「面白くない物語の主人公」に分けられました。

どれだけ偉大なことをしていても、「面白くない物語の主人公」の偉人の伝記は本棚の片隅に追いやられ、敬意を払われることなく、埃をかぶっていきました。

 

できれば面白い物語の主人公でありたい。

そして自分自身でその物語を書くことができたら、空からアイスクリームが降ってくる。

 

これがぼくの物語の原点です。

 

さらに遡れば、ぼくの父は九州で海苔問屋の三男坊として生まれ、神戸の地にたどり着き、この土地から始まる家の歴史・物語を新たに築き上げることを胸に誓って自ら事業を起こしました。

ぼくの母は貞観16年(西暦874年)から続く家系図を受け継いでいましたが、家系図の正当な跡継ぎは祖母の代で男の子が生まれなかったために途切れており、家の歴史・物語は続きが書かれることのないまま母の手に委ねられました。

 

三男坊として新たに物語を書く必要があった父と、物語が途切れた家系図を持った母。

2人の間に生まれたぼくが物語に飢え、自らの物語を求め、ひとの物語を求め、それを記述せずにはいられないのは、当然の帰着なのかもしれません。

 

ひとにはそれぞれの物語があります。

そして誰しもが自らの物語に目覚めることができます。

 

もし、いま誰かの作った物語の中に生き、流されていたとしても、

過去の成功や失敗に囚われ、本当はいま社会に対して挑みたいと切望しているものがあるのにその想いに蓋をしてしまっているとしても、

あなた自身の物語は存在し、発見され、スイッチが押されるのを待っています。

 

ぼくの使命は物語を発見して記述し、

物語を再起動するために必要なリソースの地図を描き、

これから先の未知に挑む物語のスイッチを押すことです。

 

家族、友人、クライアントの皆さま、ファームの仲間、同志、人生の師匠、

皆さまに支えていただき、教わり、導いていただいたスキルとマインドと使命をもって

未知に挑む物語のスイッチを押します。

 

ひとが他の誰でもない自分自身の物語に目覚め、

本来の才能に輝き、

未知に挑む社会に向けて

MAP Uは活動していきます。

 

(代表 杉本)