部下にひらめかせた時点で教育に失敗している

[2017年2月25日]

「教育って必要なの?」

と聞かれたことがあります。

 

「誰だって自分自身の頭で考えれば出来るんじゃないの?

なんでわざわざ仕事を教えないといけないの?

考えろよ、その頭でちゃんと考えろよ、って思うんだけど」

 

古い友人なのですが、

彼は特に仕事を教わってきたという実感もなく、

自分自身の頭で考えて仕事が出来るようになってきたそう。

 

彼のようなタイプは、

誰が教えても出来るようになるし、

たとえ誰も教えなくても出来るようになります。

 

そうではなくて、

1人で勝手に出来るようにはならない部下に対して、

出来るように変えるのが教育です。

 

よく部下を指導する立場にある方が

「Aさんはいいですよ、

教えたらすぐ出来るようになりますからね。

だけど、Bさんは駄目です。

教えても全然出来るようになりません」

などとおっしゃっている場面に出くわすことがありますが、

実はAさんは誰が教えても出来るようになります。

 

Aさんが出来るのはAさんの手柄であって、

上司の手柄ではありません。

そしてBさんは、

教育のスキルがある方が教えれば出来るようになります。

出来ない部下を出来る部下にするのが教育です。

 

Bさんを駄目だと言っている上司は、

自分は教育のスキルがないし

その責務を果たしていないと告白しているに等しい。

前提として、

そもそも教育でなんでも解決しようとするのは

間違いです。

教育はむしろ最終手段であって、

教育の前にすべきことはたくさんあります。

企業であれば、まず採用段階で自社に適した人材を仲間に迎えるべきだし、

後で教育すればいいから採用するのは誰でもいいでしょ、

とはもちろんなりません。

 

 

その上で、教育に成功するためにはどうすればいいか。

 

皆さまご自身が持っていらっしゃる有能性を部下に伝授するためには、

部下にオリジナリティ溢れる仕事のやり方をひらめかせている場合ではありません。

 

「守破離」が日本におけるスキル伝承の1つの方ですが、

皆さま自身の仕事のやり方を

部下がきっちりと「守」ることが出来るように

その仕事のやり方の意味・意図まで含めて

きちんと教えるということ。

 

それが、皆さまがもっている有能性を部下に正しく伝承するということであり、

すなわち教育です。

 

その上で、

教育にとどまらない人材育成の方法がキャリア教育ですが、

これについてはまた別の機会に書き下します。